ワイヤーカットで「後退アラーム」が出た時の対処方まとめ

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ファナックのロボカット:αシリーズのマニュアル、画面操作になります。
ワイヤー放電加工(ワイヤーカット)を行っている際、「後退アラームが何度も発生する」「アラームは出ないものの同じ場所を行ったり来たりして加工が進まない」というトラブルに遭遇することがあります。

今回は、後退アラームが発生した際の原因確認から、スクラップ(中子)の除去・復帰手順、ならびに設定(送り・条件・張力)の調整による対処法をわかりやすく解説します。

 後退アラームの原因と基本のチェックポイント

後退アラームが発生する主な原因は、**切り落としたスクラップ(中子)や切れかけの中子がワイヤーに接触してショート(短絡)していること**です。

まず最初に行うこと

1. **[排水]** を押して加工液を抜き、ワークとワイヤーの状況を目視確認します。
2. 中子がワイヤーや下ノズル周辺に接触していないか、挟まっていないかを確認します。
3. 画面下部に**「稲妻のマーク」**が出ている場合は、ワイヤーがショートしている(中子が接触している)可能性が非常に高いです。

 後退アラーム発生時の復帰手順(フローチャート)

スクラップの状態に合わせて、以下の手順で安全に復帰・再開を行います。

Step 1:アラーム解除と確認

1. **[リセット]** を押し、後退アラームを解除する。
2. **[排水]** を押して加工液を抜く。
3. **スクラップを取り除く。**
※スクラップは下に落ちていたり、ノズルと品物の間に挟まっている場合があります。

Step 2:スクラップの状態別対応

Pattern A:スクラップがそのまま取れた場合

スクラップを取り除いたら、軸を移動させずに **[水溜め]→[加工準備]→[加工再開]** へ進みます。

Pattern B:スクラップが挟まっていて手で取れない場合

軸を慎重に移動させて隙間を作り、スクラップを取り除きます。

1. **[連続]または[ステップ]** を選択。* **連続**:X, Y, Z移動ボタンを押している間動く
* **ステップ**:1プッシュずつ動く(移動量選択によって移動量が変化)

2. 移動速度を **[微速×0.1]** に設定する。
* ※速度設定目安:`微速×0.1` < `低速×1` < `中速×10` < `高速×100` < `高速×1000`

3. **[+X / -X / +Y / -Y]** で手動移動し、スクラップを取り外す。* **注意:** 下ノズルを割らないように慎重に動かしてください。

Step 3:加工中断点への戻し(3つのパターン)

スクラップが取れたら、加工の中断点まで戻します。状況に合わせて最適な戻し方を選んでください。

| 戻し方 | 手順 | 備考 |

| **① 加工経路をたどって戻る** |

[開始点復帰]→[メモリ]→[ワイヤ送り]→[ワイヤ張力]→[中断点復帰]→[水溜め]→[加工準備]→[加工再開] | 最も安全に加工線上に沿って戻る手順です。 |

| **② 最短距離で戻る** |

[連続]→[中断点復帰]→[水溜め]→[加工準備]→[加工再開] | 最短距離で手軽に復帰します。 |

| **③ 中断点から動かさずに取れた** |

[水溜め]→[加工準備]→[加工再開] | 位置を動かしていない場合はそのまま再開します。 |

⚠️ 再開時の重要な注意点

* **水の溜まり待ち:** [水溜め]を押した後は、水がしっかり溜まるのを待ってください。待たずに[加工準備]を押すと、水が噴き出します。

* **ピンク色の警告が出た場合:** [加工再開]を押した際に、画面に「(リセット状態でないと再開できません)」というピンク色の警告が出ることがあります。その場合は一度 **[リセット]** を押してから、再度 **[加工再開]** を押してください。

3. アラームが多発・進まない時の対処法3選

スクラップを取り除いても後退アラームが頻発する場合や、アラームが出ずに同じ場所を行ったり来たりして進まない場合は、加工条件の調整を行います。

主な対処法は以下の**3つ**です。

① 送りを落とす(FEEDRATE OVERRIDE)

1. 一度加工を停止(一時停止)します。
2. モニター画面外の左側にある **[FEEDRATE OVERRIDE]** のつまみを回します。
3. デフォルトの `100` から **`60〜90`** の間に下げて設定し、加工を再開します。
4. 後退アラームも出ず通常通りワイヤーが進んだら、つまみを `100` に戻します。

② 加工条件調整を落とす

1. 一度加工を停止します。
2. モニター左下にある **[加工条件調整]** の欄のパーセントを下げる。
3. デフォルトの `100%` から **`70〜90%`** の間に調整し、加工を再開します。
4. 後退アラームも出ず通常通りワイヤーが進んだら、値を `100%` に戻します。

③ 張力(T値)を上げる

1. 一度加工を停止します。
2. モニター左側にある **[加工条件]** の欄内にある **[T](ワイヤーの張力)** の数字を確認します。
3. この値に **`+100〜200`** くらいの値を入力し、加工を再開します。
4. **注意:** 後退アラームが出ずに進んでも、**M00やM01などの一時停止、または加工終了するまでは数字の変更(戻し)を行わないでください。

まとめ

後退アラームや進み不良が発生した際は、まず「干渉・ショートの確認」と「正しい復帰手順」を踏むことが大切です。

それでも解決しない場合は、
* **[送りを落とす]**
* **[加工条件調整を落とす]**
* **[張力を上げる]**

これらの対策を単体、または**複数組み合わせて調整**してみてください。ノズル破損やワイヤー断線に注意しながら、安全に作業を進めましょう!

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